旭不法派遣無罪、その耐え難い判決の軽さ

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韓国大法院前にて抗議記者会見

旭不法派遣無罪、その耐え難い判決の軽さ
1。 2月17日、大邱地方裁判所第4刑事部(部長判事イ·ヨンファ)はアサヒグラス(エイジシーファインテクノ韓国株式会社、以下「アサヒグラス」)と株式会社ジーティーエス(以下「GTS」)およびGTS所属労働者間の法律関係が勤労者派遣に該当しないとし、アサヒグラスとGTSなどに派遣勤労者保護などに関する法律(派遣法)違反罪を認めた1審判決を破棄し、彼ら全員に無罪を宣告した。 実に荒唐無稽で衝撃的な判決だ。
2.当該判決の法理的問題から探ってみよう。
第一に、今回の判決は生産指示書、定期的な作業依頼書などを通じた業務指示、現場代理人を通じた作業指示などを全て勤労者派遣の徴票とは見なかった。 これは確立された判例法理に真っ向から反する判断だ。
第二に、今回の判決はアサヒグラスの指揮·命令という勤労者派遣の徴票を大部分請負人の指示権と検収権行使と評価した。 日常的で持続的で相当な指揮·命令関係を請負人の指示権と検収権と把握することは既存判例法理に反する。 それだけでなく、こうなれば製造業の直接生産工程の偽装請負に免罪符を与えることになり、派遣法が刑害化される深刻な問題が発生する。
第三に、今回の判決は一連の最高裁判例傾向と掛を異にする極めて異例的な判決である「KT&G事件」判決(さらにこれは製造業直接生産工程ではなく支援設備運営業務に関する判決である)を特定し明示し、これを基準と判断した。 これは決まった結論を導き出すための強引な法理展開であり、結果的に先に言及したような深刻な法理誤解に帰結してしまった。
第四に、一連の最高裁判例傾向を総合すれば、製造業直接生産工程で社内下請けは事実上「不法派遣」と認められる状況で、今回の判決はこれに正面から逆行する異例の判決だ。 今回の判決は製造業の直接生産工程に蔓延した社内請負形態の偽装請負を事実上認める派遣法に正面から反する立場を提示したものと評価される。
これは派遣法制定以前から広範囲に存在した製造業直接生産工程での社内下請けが派遣法制定で突然禁止されてはならないという個人の信念を具現した判決ではないかという疑問を抱かせる部分だ。 実際、該当判決文にはこれと関連した非常に異例的な判示が見えもする。
第五に、今回の判決は勤労者派遣可否を判断するにあたって「業務別勤労者数にともなう比重」を考慮しなければならないという、今まで全く提示されなかった非常に恣意的な判断基準まで提示した。 また、今回の判決は製造業直接生産工程の特性をむしろ勤労者派遣を否定する要素と評価した。 さらに、今回の判決は形式的契約と正規職管理者の証言など、会社側に偏った信憑性のない陳述に主に依存して判断する深刻な問題も明らかにした。
3。 アサヒグラスの不法派遣と関連しては雇用労働部と検察はもちろん裁判所も「雇用の意思表示訴訟」1審·2審、直接雇用義務不履行にともなう損害賠償請求訴訟1審、刑事裁判1審判決で全て不法派遣を認めた。 その過程で数十人に対する証人尋問、数千枚に達する膨大な客観的証拠、3回にわたる現場検証など十分な証拠調査と弁論が行われた。
ところが今回の刑事控訴審裁判は数回裁判が空転し、2人の証人尋問以外に特別な証拠申請などもなかった。 約6ヵ月間、この程度の公判だけが進められた後、突然裁判所が一貫して認めた不法派遣を否定する判決を言い渡したのだ。 判決に対する最小限の信頼も持てない部分だ。
4。 2020年2月4日、CJB清州放送で14年以上いわゆる「形だけのフリーランサー」として勤めたイ·ジェハクPDは労働者性を証明するために訴訟を提起したが、とんでもない1審敗訴判決直後、自ら命を絶った。 当時の判決は法理誤解と事実誤認を越えて粗悪極まりなかった。 該当判決は控訴審で正され結局破棄され、イ·ジェハクPDは労働者性を認められたが、彼は今この世にいない。 実に嘆かわしいことだ。
このように裁判所の判決は、時には一人の命を左右するほど重い。 そのため、判決は真実を確認し、法理に忠実であることはもちろん、人間に対する愛情を土台にしなければならない。 今回の刑事判決で真実と法理、人間に対する愛情、そのどれ一つを盛り込もうと努力した痕跡を発見することは難しい。 むしろ労働者の叫びのように判決の基本も発見しにくい、耐えられない軽さだけが確認されるだけだ。
2015年7月、下請け業者であるGTSに対するアサヒグラスの契約解除とこれにともなう集団解雇以後、非正規労働者は9年間街頭で、そして法廷で切迫して激しく戦っている。 今や最高裁判所は彼らの声に正当に答えなければならない. 今回の刑事判決は最高裁で正されると信じている。 必ずそうならなければならない。 これ以上非正規労働者が街頭で絶望せずに生産の現場に一日も早く復帰できることを切実に願う。
李龍宇(イ·ヨンウ)弁護士(民弁労働委員長)