『22人の組合員の血の涙で勝ち取った有罪判決!今こそ、解決を!9・4旭非正規職支会支援連帯集会』
韓国の旭非正規職支会は今日もソソンリのサードミサイル配備阻止闘争の現場にいた。少しの間抜け出してオンラインでつながってくれた。元気な姿、元気な声が聞けてうれしかった。
韓国サンケン労組を支援する会の仲間が多数参加して挨拶をしてくれた。本当に感動した。長い間崩落していた橋が復旧したかのようだ。とても重要な集会になった。
日本の私たちが労働者として旭支会と同じ方向を向いて、同じ闘いをやることが全てだ。これからだ。
チャホノ支会長の発言
同志の皆さん、お会いできてうれしく思います。旭非正規職支会支会長チャホノです。
今日も旭資本に立ち向かい国際連帯を全力で実践してくれている同志の皆さん有難うございます。
私は今日戦争武器サード配置に反対する集会に来ています。旭同志たちと共に参加しました。
旭闘争は6年4か月目です。22名の少数が長い時間闘っています。
先月裁判で「旭硝子ファインテクノコリア前社長に懲役6か月、下請け会社の社長に懲役4か月」の判決がありました。
例え執行猶予だが、製造業で最初の懲役刑判決としていろんな意味を含んでいます。
第一に、少数が闘っても資本を裁判にして処罰されるようにすることができるということです。
第二に、少数が今回の刑事裁判判決で旭資本は今の状況を絶対にひっくり返すことはできないということです。
第三に、不法派遣を犯した企業がものすごく多くあります。資本家たちに警鐘を鳴らすことです。
第四に、民主労総の力を示しました。
旭不法派遣裁判は、単にこのようになったわけではありません。
検察は2017年旭不法派遣事件を無嫌疑として処理しました。
私たちは検察の処分結果を認めませんでした。検察と闘いました。
労働者が労働部と闘うことはあっても、検察とたたかうことはありません。
はじめてのことです。
検察庁の前にテントを張りました。6か月間籠城しました。検察庁ロビー占拠もしました。
検察は強制連行しました。団体で警察署につかまり留置場に2日間入り出て来ました。
裁判も受けました。すべて罰金刑として処罰されました。われわれはそのように闘いました。
粘り強く闘った結果検察が旭を起訴することに変わりました。結局われわれが検察と闘って勝利しました。
旭不法派遣の懲役刑判決はこのように血と涙で成し遂げた成果です。
民主労総の力です。少数でも民主労総は強い力をもっています。
われわれがどんな精神と決意で闘うかによって変わってきます。
旭22名の同志たちの闘争の決意によって多くの同志たちが旭闘争を共にたたかっています。
特に遠く日本で旭本社を対象に継続して抗議行動をするのはとても意味あることです。
同志たちの連帯は旭同志たちに力を与え、旭闘争に連帯する同志たちに感動を与えています。
旭硝子労組の破壊と不法派遣の実質的な責任は日本の本社にあります。
今年初めに旭硝子で労組に会おうと提案した時も日本本社が許可したものだと言いました。
旭硝子を代表してその席に出た弁護士はすべての権限は旭硝子日本本社にあると言いました。
旭硝子本社の態度と弁明は卑怯です。
素直にならなければなりません。責任を取らなければなりません。罪を認めなければなりません。
旭資本は時間をこれ以上引き延ばしても変わりません。われわれは絶対あきらめません。
より大きな闘いで闘って行きます。
今日韓国サンケンに連帯する同志たちも共に参加していただきありがとうございます。
旭非正規職支会も韓国で韓国サンケンと共に連帯し、闘います。
われわれの勝利が近づいています。最後まで力強く闘います
共に勝利しましょう。トゥジェン!!
基調提起 事務局長・清水彰二(群馬合同労組委員長)
22人の組合員の血の涙で勝ち取った有罪判決!
今こそ、解決を!9・4旭非正規職支会支援共闘集会 基調報告
2021年9月4日
旭非正規職支会支援共闘会議事務局長 清水彰二(群馬合同労働組合執行委員長)
今日はご参加ありがとうございます。
先にAGC韓国の不法派遣に関する、今年8月11日の有罪判決を報道する韓国のニュースビデオをご覧いただきました。
6年間、解雇撤回を求めて闘ってきた旭非正規職支会の姿が映し出されました。どのように闘ってきたのか、後で、オンラインで旭支会の同志たちから語って頂きたいと思います。
事務局長の私からは、日本の私たちにとって、旭非正規職支会との支援連帯闘争がどういう意味のある取組みなのか、私がこの間考えてきたことを提起させていただきたいと思います。
ニュースビデオの中で、旭支会のチャホノ支会長が、今回の懲役6カ月の有罪判決は、私たちが闘わなかったらなかったんだと語っていました。
ご覧になった通り、最初は「嫌疑不十分」だとして起訴をしなかった検察に対して、旭支会は検察庁へのろう城座り込みの闘いを展開しました。これも含めて旭支会は14件の刑事事件の被告になっています。今日の集会の表題にもなっている「22人の組合員の血の涙で勝ち取った有罪判決」。これはチャホノ支会長が、フェイスブックで有罪判決を報告した時の言葉ですが、まさに「血の涙」で勝ち取ったのです。
3年余り前に日本で支援共闘会議を結成した当時、この不法派遣という問題を私はよく理解することができませんでした。
韓国では、物の製造の労働分野ではいまだに派遣労働が禁止されています。AGC韓国は、これを請負という形を偽装して、実質的には派遣労働者として、非正規労働者を酷使してきました。合法的な「整理解雇」を繰り返すことによって、いつでもお前らクビにできるんだと実力行使しながら、「請負労働者」を奴隷に仕立て上げてきました。
旭非正規職支会の労働者たちは、このような奴隷のくびきから解放されるために、6年前の2015年5月29日に、旭非正規職支会を結成して立ち上がりました。当初の要求は、わずかばかりの時給の賃上げ、作業着と弁当の改善でした。しかし、本質的に、この違法派遣・偽装請負という非正規労働者のあり方に対する反乱、非正規職撤廃を要求する闘いだったと思います。
日本では、1999年に派遣法が「改正」されて、それまでは専門的な特定26業種に限定されていた派遣労働が、原則自由化されます。2004年には「物の製造の業務」にも拡大されます。派遣労働の原則自由化によって、日本では非正規労働者の割合が急増するとともに、正規職労働者の賃金・労働条件は悪化の曲線をたどります。労働組合はこれと闘うことができず弱体化が進みます。これはILOも含めた世界的な規制撤廃・民営化の中で起こります。
私たちは、ここで、チャホノ支会長の、有罪判決は闘って勝ち取ったという意味をかみしめなければなりません。執行猶予2年が付いているとはいえ、当時の原納猛社長に対して懲役6カ月の有罪判決。製造業派遣で初めての懲役判決は、資本家階級に大きな恐怖を与えています。韓国国内や世界の非正規職化・労働者の分断という現実に対して、決してあきらめない、労働者の団結した闘いで流れを押し返したのです。
現在、民主労総は、この秋のゼネストに向けて大きな闘いの渦中にあります。保険医療労組のゼネスト予定日の9月2日早朝にムン・ジェイン政権は、警察権力を使って民主労総本部を襲撃して、ヤン・ギョンス委員長を拘束しました。怒りが爆発しようとしています。その大きな柱に、旭非正規職支会が切り開いてきた非正規職撤廃の旗がひるがえっています。
私たち日本の旭非正規職支会支援共闘会議は、2018年の5月に結成されました。国鉄分割民営化と闘い抜いてきた国鉄千葉動力車労働組合を中心として、民主労総との10年をこえる国際連帯の地平の上に、結成されました。その基本的な立場は、新自由主義と対決する労働運動の力を結集し、旭非正規職支会の闘いに支援・連帯するという立場です。
日本における労働運動をめぐる状況には非常に厳しいものがあります。終身雇用と年功序列、企業内組合が戦後的な日本の労使関係の「三種の神器」と言われました。日本の高度経済成長をこれが支えたのです。しかしこの中で育った主要な大労組は、国鉄分割民営化から始まる新自由主義と対決する何らの闘いもできませんでした。「階級的労働運動」を掲げたナショナルセンター・総評が解散して、資本との「パートナーシップ」を掲げた連合ができました。資本はそれをも利用して、非正規化を推し進めました。それが34年も続いたのです。そして今、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部に対する大弾圧が襲いかかってきています。まっとうな労働組合活動を犯罪として、闘う労働組合を根絶やしにしようとするものです。
しかし、この30年をこえる新自由主義は、再び労働者が労働組合と団結を復権せざるをえない現実を作り出しています。
昨日、菅首相が退陣を表明しました。安倍・菅と続いた自公政権は、新型コロナのパンデミックに対して失政を重ね、ついには感染者を入院させることもできず、次々と自宅療養者が自宅で亡くなるという医療崩壊を招いています。オリンピック・パラリンピックの強行が最後的な菅に対する怒りの爆発を引き起こしました。
すでにパンデミックが始まる前から、自公政権の新自由主義政策は、医療の崩壊を準備していました。そもそも新型感染症の危険性は世界的に予見されていました。にもかかわらず、儲けにならない医療・病院・施設はつぶしてしまうという政策の中で、病床はあっても働く人がいないという現実が広がっていました。
コロナ禍の渦中で、昨年夏、船橋二和病院の医師と看護師で作る船橋二和病院労働組合の仲間たちがストライキに立ちあがりました。とんでもない重圧、四面楚歌の中で、闘う以外に希望はないと決断したのです。コロナ感染者を受入れ極限的な労働強化を強いられながら、理事会は賞与を下げたのです。このままでは絶望して退職者が続出する。患者さんの命も、自分たちの命や生活も守ることはできない。ストライキで立ち上がるしかないという決断でした。
驚いたのは、圧倒的な支持と共感が広がり、全国にこの闘いが広まったことでした。
先日、群馬合同労組の組合員が働くある医療福祉法人の職場で労働組合が結成されました。やはり、賞与や昇給の規定が改悪されそうな状況で、これまで我慢してきた怒りが組合結成に結びついたそうです。みんな若くて、誰も労働組合なんて経験したこともない、真似をするお手本もない、不安だらけである…しかし、労働者が団結して、経営者に立ち向かう以外に希望はない。労働者はやはりここに行き着くしかないのだと思います。
労働組合に希望をもって闘う、そういう姿を私たちは示さなければなりません。
本日、韓国サンケン労組を支援する会の仲間が、連帯の挨拶をしてくださいました。今、旭非正規職支会とサンケン労組が日本の本社を相手に強力な解雇撤回の闘いを行っています。韓国サンケン労組は1996年に韓国労総から民主労総に移行して闘いを開始するや、会社の度重なる組合つぶしの攻撃を受けてきました。2016年にも生産部門廃止・全員解雇攻撃を受けますが、来日して日本本社に対する抗議行動を展開して、解雇を撤回させました。サンケン電気は、コロナでチャンス到来と、偽装廃業・全員解雇を強行しました。しかし、サンケンのこんな組合つぶしの解雇を絶対に許してはならないと、日本の全労協加盟の労働者、本社のある埼玉の地元市民を中心として大きな支援連帯行動が続けられてきました。毎週月曜日と木曜日の2回、毎回朝7時15分から何十人もの支援者が本社門前にかけつけて出勤時抗議行動を展開しています。そして志木駅前宣伝行動、池袋の東京事務所への抗議行動、全国の支店・営業所に対する抗議行動を展開しています。
そんな中、支援の中心にいた尾澤孝司さんが今年5月10日に門前行動の渦中で不当逮捕、暴行と威力業務妨害をでっち上げられて起訴され、現在も勾留されています。尾澤さんはサンケンの株主です。株主総会での追及を封じ込めるための逮捕でした。
旭非正規職支会と韓国サンケン労組。この二つの労働組合は、日本の本社の組合つぶし攻撃に対して、民主労組としての存在をかけて闘い抜いています。そこには、労働組合と団結なしには、労働者の未来はないのだという不屈の意志が貫かれています。
連帯して日本の労働組合が大挙して闘う。そのような状況を何としても作り出さなければなりません。分断と弾圧による労働組合の破壊に対して、連帯・支援・団結をもって、労働組合をよみがえらせていくことが、私たち支援共闘会議の任務でなければなりません。
その時に、本当に旭非正規職支会から学ばなければならないことがあります。それは、非正規職労働者が自らの解放をかけて立ち上げる中に、労働組合と団結を打ち鍛え、新しい世の中を建設する力があるということです。
非正規職が労働組合に結集して闘うことは、大変なことです。労働者が簡単に解雇されることを身近に見ている非正規労働者は、組合に入れば解雇されるかもしれないと不安に思います。
実際に今日司会をしている群馬合同労組の組合員ですが、新聞配達の非正規労働者でした。合理化と労働強化で利潤をあげようとする新しい経営者が、配達部数を増やして賃金は下げようとしました。彼女は群馬合同労組に加入して一人でストライキで闘いました。勝利的に闘いましたが去年、ミスが多い、能力不足だと、不当解雇されました。現在地方労働委員会で闘っています。組合つぶしの不当労働行為であることは明らかにしました。しかし非正規労働者なので、地位の確認ができるか、職場に戻ることができるか、わかりません。非正規労働者の闘いは、困難なうえに勝っても得るものは取るに足りない場合が多いのです。早く次の仕事にありつかないと生きていけません。闘うよりも辞めて次の仕事を探した方がずっと手っ取り早い。
世界中で同じ現実があり、労働組合と団結を取り戻す中心的な課題がこの非正規職労働者の団結と闘争にあります。だから旭非正規職支会をはじめ、韓国の非正規労働者の闘いは、世界の労働者階級の宝物なのです。
労働者は、とりわけ非正規労働者は、一度闘争に立ち上がれば、団結を固め、自らを強く打ち鍛えて、団結を拡大していく主体に成長します。決して仲間を裏切らない。次々と襲い来る苦難を乗り越えながら、そうした真実に目覚める。労働組合と団結の中に自分を変え、世界を変える力がある。組合結成の時に民主労総本部のペ・テソン同志は、集まった労働者を前に「あなたたちは運がいい。新しい世界を見ることができる」と話したそうです。それを聞いて組合に加入して、まさに新しい世界を作り出している労働者、それが旭非正規職支会なのだと思います。
私たち日本の労働者は、旭非正規職支会を支援しなければならないと言いながら、圧倒的に精神的な支援をされています。この闘争に、主体的に関わることで、日本の現状を変える力を得ることができます。闘いを拡大しましょう。
当面、支援共闘会議としては、AGC本社に対する闘争を圧倒的に強化したいと思います。世界一のガラスメーカー、世界30カ国に展開するグローバル企業、旧三菱財閥の戦犯企業、様々な角度からAGCの責任を暴き出していく。多くの人々に、AGCの犯罪性を知らしめ、怒りと闘いを組織していきたいと思います。
当初違法派遣の判決予定日は7/14でした。支援共闘会議は7/16に本社に対する初めてのデモを設定しました。デモの申請に行くと、警視庁の警備担当者が東京駅の丸の内はデモはできない、東京都公安委員会が認めないと言って、デモコースを変更させられました。デモをやることを優先してコース変更に応じました。デモはAGC本社の手前で曲がって、本社にたどり着けないコースでした。
2回目のデモは8/20に行いました。私たちは今度はコース変更には応じないと決めました。丸の内は、皇居があるからデモはさせないというのならば、戦犯企業AGC・三菱財閥は今もって天皇と一体なんだ、今もって植民地然として韓国を蹂躙しているんだと世論に大きく訴えるしかないということです。私たちは、そのように妨害や反動をものともせず、逆に力に変えてしまうような闘い、大きく世論を獲得するような闘い方をしなければならないと思います。
そう私たちが決意をして腹を固めると、面白いことがおこりました。何と8/20のデモはAGC本社まで、警視庁も東京都公安委員会もデモを認めたのです。次はグルグルと本社を回るデモを実現したいと思います。
そして、8/20のAGC本社抗議行動をやる中で、AGC内部から、AGC本社のグローバル展開のあり方に対する問題を指摘する声まで届けられるようになりました。
8月11日の判決で懲役6カ月の有罪判決を受けた当時の原納猛AGC韓国社長。実はAGC経営陣は、2004年に、「経営人財育成プログラム」を創設して、グローバル展開に対応した「ハイポテンシャル人財」の育成に組織的に乗り出していたのだと情報を教えてくれたのです。島村琢哉前社長は「人財で勝つ」をスローガンに 社長自ら人材育成に注力したというのです。原納猛が懲役6カ月の有罪になったことについて、島村前社長や平井現社長の責任はないとでもいうのでしょうか?有罪判決が出た今も、支援共闘会議の申入れに対して、AGC本社は「AGC韓国が適切に対応している」「コメントする立場にはない」という回答で申入れにも応じようとしません。絶対に許すことはできません。
私自身のことを言えば、旭支会支援共闘会議に事務局長として関わることで、私自身が大きく変わってきたと思っています。日本と朝鮮・韓国の歴史は、日本による植民地化、支配と虐殺、差別と圧政の歴史、戦後も38度線による分断を強制し、在日朝鮮人・韓国人を差別し、抑圧し続けてきた歴史でした。支援共闘会議の顧問を担っていただいている金元重さんは、韓国軍事政権によって「スパイ団事件」をでっち上げられ、投獄と拷問で辛酸をなめてこられました。私たちはこうした負の歴史を乗り越えるチャンスを与えられました。そして、それは民族をこえて、労働者階級として同じ方向で、同じ闘いをやろうということに尽きます。責任をもってやると思うようになりました。仲間を増やして、旭支会の同志たちといっしょに新しい世界を見たいと思っています。
今日ご参加のみなさんには、ぜひとも、東京本社に対する毎月の抗議行動に結集をしていただきたいと思います。何よりも職場で、地域で、闘う労働組合、非正規労働者・未組織労働者を組織するために奮闘していただきたい。そして11月7日に開催される全国労働者総決起集会に結集してください。ともにがんばりましょう!